脳腫瘍

脳腫瘍

脳腫瘍頭蓋内組織から発生する原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に分けられます。小児がんでは白血病に次いで発症が多いとされています。診断にはMRI検査が必要です。主な症状は、頭蓋内圧亢進による頭痛、吐き気・嘔吐、視力障害などがあり、てんかん発作を起こすこともあります。脳腫瘍には良性の腫瘍から非常に悪性度の高いものまで数多くあります。そのいくつかをご紹介します。

神経膠腫(グリオーマ)

神経膠腫とは脳の内部から発生する脳実質内腫瘍の一つです。神経膠腫はWHOが定めた基準により4つに分類され症状や進行のスピードが大きく異なる点が特徴です。手術で腫瘍をできるだけ切除することが重要ですが、正常な組織にも神経膠腫の腫瘍細胞がしみ込んでいるため術後に重大な合併症を起こすことがあります。ただし、グレード2でも生存率が低いため、手術は必要です。術中蛍光診断で切除範囲を正確に見極め、運動神経や言語を話すなどの部分をできるだけ傷付けないよう確認しながら切除し、すぐに病理診断を行って最大限の腫瘍摘出を目指すなど高度な手術が必要です。

髄膜腫

脳腫瘍の中で最も発症頻度が高く、髄膜のある場所から発生して成長し、脳を圧迫します。成長は遅いことが多く、脳ドックで発見されても症状がなかなか現れないこともあります。髄膜種ができた場所や大きさによって症状はさまざまです。麻痺や感覚異常、視力・聴力・嗅覚・嚥下などに障害が起こることもあります。増大しないことも多いため、無症状の場合には経過観察を慎重に行っていきます。増大した場合には全摘出の手術が検討されます。ただし、視神経に影響を及ぼすおそれがある場合には、進行させてしまうと視力障害が残ってしまうことがあるため、早めの手術が必要になります。

下垂体腺腫

ホルモン産生腺腫や成長ホルモン産生腺腫、副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)などがあります。ホルモン産生腺腫であるプロラクチン産生下垂体腺腫は女性に多く、月経不順や不妊症などを起こします。成長ホルモン産生腺腫は先端巨大症のことで、手足の腫大、顔貌の変化に加えて生活習慣病などの合併症リスクが高くなっています。クッシング病は命に関わるおそれがある病気であり、多毛やにきび、筋力低下、うつ病などを合併することもあり、早期の治療が重要です。プロラクチン産生下垂体腺腫は薬物療法で効果が見込めます。その他の下垂体腺腫は内視鏡による侵襲の少ない治療が可能な場合もあります。

聴神経腫瘍

頭蓋内の末梢神経にできる良性の腫瘍です。耳鳴りや聴力低下、めまいやふらつきなどの症状が現れることが多く、難聴との鑑別が重要です。根治には全摘出手術が必要ですが、聴神経腫瘍は脳幹と小脳の間にあって周囲に重要な神経が存在しています。また、小脳に腫れや出血などが起こると命に関わるおそれがあります。そのため、腫瘍の大きさや位置、年齢、全身状態、患者様のお考えなどに合わせて慎重に治療方法を選ぶ必要があります。摘出手術をしない場合には、定位放射線治療を行うこともあります。

中枢神経原発悪性リンパ腫

中枢神経原発悪性リンパ腫中枢神経に発生するリンパ腫で、中枢神経から発生したものが中枢神経原発悪性リンパ腫です。男性に多く、最近は高齢者に増加傾向がみられると指摘されています。発生するのは脳、脊髄、眼球で、頭蓋内圧亢進によって頭痛・吐き気・嘔吐・精神症状、そしてけいれんなどの症状を起こします。手術は確実な診断を目的に行われ、治療は抗がん剤や抗腫瘍薬によって行います。さらに放射線治療なども必要に応じて行っていきます。

頭蓋咽頭腫

胎児の時に頭蓋咽頭管から下垂体ができて頭蓋咽頭管は縮小してほとんどなくなります。この頭蓋咽頭管が残って腫瘍化したものが頭蓋咽頭腫です。小児だけでなく成人してから発見されることも多く、全体の半分は40歳以上に発見されています。主な症状は視力や視野障害です。腫瘍が大きくなると頭蓋内圧亢進による頭痛や吐き気・嘔吐などを起こします。また、小児の場合、低身長という症状を起こすこともよくあります。全摘出できれば手術による治癒の可能性もありますが、再発した場合には放射線治療なども必要になります。

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