よくある頭痛と脳疾患が関係している頭痛
頭痛は風邪でも起こりますし、パソコンを使ったデスクワークなどでも日常的に起こりやすい症状です。現在の日本では、頭痛に悩まされている方が約1000万人いるとされています。ほとんどの頭痛はそれほど心配する必要がありませんが、緊急性の高い頭痛もあります。それは脳に損傷が生じて起こる頭痛です。
普段の頭痛とは様子が違う、徐々に痛みが強まる頭痛、長期間継続する頭痛、立っていられないほど強い頭痛などの場合、脳疾患やそのリスクが高まって起こっている可能性があります。そうした際にはできるだけ早い受診が必要です。「おかしいな」と感じたら、すぐにいらしてください。また、動くことができないほど激しい頭痛が起こった場合には、すぐに救急車を呼んでください。
当院では、大学病院や基幹病院で30数年にわたって脳神経外科の診療に携わってきた院長が丁寧に診療しています。軽微な脳疾患ではほとんど自覚症状がない場合もありますので、頭痛に関して不安や心配がある方もお気軽にご相談ください。
頭痛の種類
頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に大きく分けられます。このうち、早急な受診が必要な脳疾患などが関係しているのが二次性頭痛です。
一次性頭痛
片頭痛(偏頭痛)
症状
頭の左右どちらかに症状が現れます。両側や全体に現れる場合もあります。多くは、ズキズキする痛みですが、強く押される、つかまれる等の痛みの場合もあります。
原因
脳血管が急激に拡張して周囲の三叉神経を刺激し、炎症物質を作り出して頭痛を起こします。
特徴
疲労やストレス、ホルモンバランスの変化、光や音などの強い刺激などをきっかけに発症することがあります。
緊張型頭痛
症状
頭全体に痛みが現れます。締め付けられるような痛みです。
原因
ストレスや筋肉の緊張によって起こると考えられています。
特徴
長時間パソコンを使う、夜間の長時間運転など、心身の緊張が続く方に発症しやすいとされています。
群発頭痛
症状
片方の目の奥が激しく痛みます。かなり強い頭痛であり、それが数十分から数時間続きます。1日に何度も起こることもあります。症状が1ヶ月以上、毎日のように続くこともあります。
原因
血管の拡張によって起こっていると考えられていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
特徴
夜中や明け方に症状が現れやすい傾向があり、男性の発症が多くなっています。
脳疾患などを原因に起こる2次性頭痛
くも膜下出血、脳腫瘍、脳動脈解離などによって起こっている頭痛です。こうした原因によって起こる頭痛は命に関わる可能性がありますし、適切な処置が遅くなると日常生活に支障を及ぼすような障害を残すこともあります。突然の強い頭痛、徐々に強くなる頭痛など、普段とは違う頭痛がありましたら、すぐにいらしてください。
頭痛にこんな症状がともなったら要注意!
- 手足など、体の片側にうまく力が入らない
- 手足などがしびれる
- 表情がゆがむ
- 言葉がうまく出ない、ろれつが回らない
- ものが二重に見える
- めまいがする・体がふらつく
- まっすぐ歩けない
- 吐き気や嘔吐
- けいれん
- 意識が遠くなる
二次性頭痛の原因となる主な脳疾患
くも膜下出血
脳を覆う膜である「くも膜」の下で脳の太い血管が破裂して、血がたまっています。すぐに適切な処置を受けないと再び脳血管が破裂して再出血を起こすリスクが高くなってしまいます。命に関わりますし、重篤な障害を残さないためにもすぐに受診してください。
原因
脳の太い血管が破裂して起こります。ほとんどが、脳動脈瘤の破裂によって起こるとされており、定期的な脳ドックで脳動脈瘤の早期発見と適切な治療を受けることが最も効果的な予防法です。
症状
突然、頭を殴られたような強い痛みが起こります。吐き気や嘔吐、意識障害などをともなうこともあります。
脳動脈解離
動脈解離は、内膜・中膜・外膜という3層構造の動脈の一番内側の内膜が破れて層の間に血液が入り込み、層構造がはがれてしまう疾患です。
脳動脈で動脈解離が起こった場合、その60%以上は頸椎の中を走行する椎骨動脈に起こります。脳動脈の内膜と中膜の間で動脈解離が起こると血管腔が狭くなって脳梗塞を起こします。一方、中膜と外膜の間で動脈解離を起こした場合には嚢状に拡張して解離性椎骨動脈瘤になり、これが外に破れるとくも膜下出血を起こします。
椎骨動脈解離は、動脈硬化などのない40歳前後の方が起こすことが多く、男性に多い傾向があります。
原因
原因不明のケースもありますが、スポーツや整体などで起こることもあります。
症状
初期症状として、後頭部やうなじに痛みが起こることがあります。こうした症状に気付いたら、脳梗塞やくも膜下出血を起こす前にすぐに受診してください。
脳出血
脳の細い血管が破裂して出血している状態です。適切な治療を受けても生活に支障を及ぼす半身麻痺や言語障害などを残す可能性がります。
原因
脳の細い血管が破裂して起こります。高血圧など動脈硬化を進行させる生活習慣病があると発症リスクが高くなります。生活習慣病のコントロールをしっかり行い、動脈硬化の進行状態をしっかり把握して進行させないようにすることが予防につながります。
症状
突然、頭痛が起こって短時間で頭痛が強くなっていきますが、あまり強い頭痛にならないこともあります。出血を起こしている場所によって、言葉が出にくい、麻痺、しびれ、吐き気、めまいなどの症状をともなうことがあります。激しい感情が起こった際や、入浴、排便時のいきみ、性行為などがきっかけになって起こることがあります。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができて頭痛を起こしています。
原因
遺伝子変異が原因だと考えられています。遺伝によるリスクの他、高タンパク高脂肪の食事、ストレス、喫煙などもリスクになるとされています。
症状
腫瘍は数週間から数ヶ月かけて大きくなり、サイズが大きくなるにつれて頭痛も強くなっていきます。他の症状として、手足の麻痺、視力障害などがともなうこともあります。
新しい片頭痛予防治療薬を取り扱っております
2021年4月に、新しい片頭痛の予防治療薬であるエムガルティが発売されました。エムガルティは、CGRP関連薬剤といわれるものです(詳細は後述)。その後アジョビ、アイモビーグの2種類のCGRP関連薬が相次いで発売されました。
片頭痛の治療薬は主に2種類に分類されており、頭痛を抑えるための急性期の治療薬と頭痛発作が起こることを防ぐ予防薬に分けられます。予防薬に関しては内服薬を毎日薬を服用することが必要があり、日々の服薬に不安を抱える方もいらっしゃいます。
また予防薬は服用することで片頭痛発作をコントロールできる方も一定数いらっしゃいますが、症状が改善できない方もいらっしゃいます。
この度発売された新しい予防治療薬は、月に1回の皮下注射によって片頭痛の急性期治療薬を使用する量や片頭痛発作の回数を減らすことができますので片頭痛でお困りの患者様にお勧めしております。
頭痛でお悩みがある場合はご相談ください
当院では患者様の頭痛に脳疾患が隠れていないかをMRI検査などによって精密に調べています。脳疾患治療の第一線で診療してきた院長が、問診・検査・診断・治療までトータルに行っていますので、安心して気軽にいらしてください。また、脳疾患以外による頭痛の場合にも、漢方治療、内服治療、神経ブロックなどによる治療を行っています。頭痛で気になることがありましたら、すぐにご相談ください。