新しい片頭痛予防治療薬 (エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)

新しい片頭痛予防治療薬 (エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)について

2021年4月に、新しい片頭痛の予防治療薬であるエムガルティが発売されました。エムガルティは、CGRP関連薬剤といわれるものです(詳細は後述)。その後アジョビ、アイモビーグの2種類のCGRP関連薬が相次いで発売されました。
片頭痛の治療薬は主に2種類に分類されており、頭痛を抑えるための急性期の治療薬と頭痛発作が起こることを防ぐ予防薬に分けられます。予防薬に関しては内服薬を毎日薬を服用することが必要があり、日々の服薬に不安を抱える方もいらっしゃいます。
また予防薬は服用することで片頭痛発作をコントロールできる方も一定数いらっしゃいますが、症状が改善できない方もいらっしゃいます。
この度発売された新しい予防治療薬は、月に1回の皮下注射によって片頭痛の急性期治療薬を使用する量や片頭痛発作の回数を減らすことができますので片頭痛でお困りの患者様にお勧めしております。

片頭痛とCGRPについて

CGRP(calcitonin gene-related peptide:カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質です。片頭痛の原因はまだはっきりとはわかっていませんが、現在最も重要視されているのが「三叉神経血管説」という説です。
CGRPは、三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢にある神経ペプチドといわれるものです。片頭痛がはじまるときには三叉神経という神経からこのCGRPが過剰に発現することにより血管拡張や神経原性炎症を介して片頭痛発作を引き起こすといわれております。
このCGRPの作用を妨害することにより片頭痛を抑制し片頭痛が起きないようにするのが新しい片頭痛予防治療薬の作用機序と考えられております。
効果発現には2つの機序があります。
エムガルティ・アジョビという薬剤はCGRPと直接結合することにより、痛みを起こすシグナルを押さえ片頭痛を起こさないようにします。
また、アイモビーグという薬剤は、CGRPの代わりにCGRP受容体に結合することで蓋をして、CGRPがCGRP受容体に結合することを阻害する薬剤です

エムガルティの作用機序(アジョビも同様)

エムガルティの作用機序

薬剤がCGRPと直接結合することにより、CGRPがCGRP受容体への結合を妨害し、痛みを起こすシグナルを押さえ片頭痛を起こさないようにする薬剤です。

アイモビーグの作用機序

アイモビーグの作用機序

CGRPの代わりにCGRP受容体に結合することでCGRP受容体に蓋をして、CGRPがCGRP受容体に結合することを阻害することにより片頭痛を起こさないようにする薬剤です

投与によって得られるもの

  1. 片頭痛日数が減る
  2. 急性期治療薬を使う日数が減る
  3. 頭痛持続時間が短縮する

各薬剤投与法

エムガルティの投与方法

エムガルティは、初回に2本投与し、2ヶ月目以降は、1ヶ月に1本投与していきます。
初回に2本投与することにより、薬剤の血中濃度が早く安定した状態にたもつことが期待できます。また2022年5月より在宅自己注射が可能となりました。

アジョビの投与方法

アジョビは、4週間ごとに1本投与、または12週間ごとに3本投与を患者様の生活状況に合わせて選んでいただけます。ご自宅がクリニックに遠い方やご多忙により4週間ごとに来院することが難しい方にアジョビを推奨しています。また2022年10月より在宅自己注射が可能となりました。

アイモビーグの投与方法

アイモビーグは初回に1本投与、その後、4週間ごとに1本投与していきます。また2022年10月より在宅自己注射が可能となりました。

副作用

よく出現する副作用は、注射した箇所の痛みや腫れ、かゆみ等の注射部位反応です。
そのほかまれではありますが、重大な副作用にはアナフィラキシーがあります。
アイモビーグではまれに便秘や傾眠が起こることがあります。

CGRP関連片頭痛予防治療薬を使用することが可能な施設

どこの施設でもエムガルティを使用することができるわけではありません。厚生労働省にでは使用できる施設に制約をもうけております。当クリニックはすべての要件を満たしており、すでに多くの患者さんの治療を行っております。

投与できる患者さん

以下の3つの要件を満たす患者さんに使うことができます。

  1. 片頭痛患者さんであること(画像診断で頭蓋内異常がないことの確認も含む)
  2. 片頭痛がひと月に4回以上発現していること
  3. 片頭痛発作の発症抑制薬を使用しても効果が十分に得られないこと

各薬剤の価格

エムガルティ

1回目:保険3割負担のケース 2本分 27,300円
2回目以降:保険3割負担のケース 1本分 13,550円

アイモビーグ

3割負担のケース 1本分 12,500円

アジョビ

3割負担のケース 1本分 12,500円
1度に3本打つ場合 3本分 47,500円

当院における治療の流れ

Step1初回診察

来院された当日に、すぐに治療を行うことはできません。まずは、受診していただいて診察を行います。CGRP関連予防治療注射薬の適応があるか否かを確認します。同薬剤の効果や副作用、治療方法の流れについて理解していただいた上で、投与を行う日程調整をします。

Step22回目以降

投与可能な患者さんで注射治療をご希望の場合には、投与希望日にご来院ください(常温に戻すため30分程度かかります。診療終了45分前にはご来院ください)。

各薬剤の紹介サイト

 

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TEL:042-703-0070 脳ドック予約