脳神経外科とは
脳神経外科とは脳、脊髄、末梢神経系を含めた神経系全般の疾患のなかで、主に外科的治療の対象となる病気の診断と治療を行う医療の一分野です。
市民の皆様の脳神経外科のイメージと実態とは少し異なると思います。
脳神経外科は、手術だけを行っているのではなく、一般的な救急対応、MRIなどの画像診断、内科的治療、脳卒中後の全身管理と神経系の病気を一貫して担当しています。
どういうときに受診するの?
当クリニックでは手術は行いません。
次のような症状がある場合に受診をお勧めいたします。
- 頭痛・頭が重い
- めまい・ふらつきがある
- 手足のしびれ・脱力がある(一過性の場合にも)
- 物忘れ、認知症の診断
- まぶた・顔面のぴくつき
- 脳卒中後の手足のつっぱり
- 顔面の痲痺(顔が曲がる)、顔の痛み
- 頭を打った、顔面・頭部の傷
- 一時的に意識を失う
- けいれん発作・てんかん
- 脳卒中後遺症
- 脳腫瘍(良性)術前・術後フォロー
- 脳動脈瘤の経過観察
お気軽に受診してください。優しいスタッフがお迎えいたします。
頭が痛い・頭が重い
現在日本では、頭痛に悩まされている患者さんは約1000万人といわれております。
ほとんどの頭痛は、1次性頭痛といわれ命に関わりませんが、片頭痛・群発頭痛等ひどい頭痛の場合には、日常生活に支障を来すこともまれではありません。
また頭痛の患者さんの2割程度は、2次性頭痛(くも膜下出血、脳腫瘍、脳動脈解離など)といわれ、脳に一時的損傷があり、そこから引き起こされる緊急性を要する頭痛です。
頭痛でお悩みのかた、一度当院を受診されてはいかがでしょうか?
MRIによる診断および漢方治療、内服治療、神経ブロックなど患者さんに適した治療を行います。
めまい・ふらつき
「めまい」と一概に申しましてもいろいろな種類があります。「ぐるぐる回るめまい(回転性のめまい)」、「頭がふわふわする」や「体が宙に浮いたような感じ」も、めまいの一種です。
めまいの原因も様々で「脳からくるめまい」、「耳からくるめまい」、「循環障害や内科的要因からくるめまい」等があります。
その中でも「脳からくるめまい」には、脳梗塞や脳出血の初期症状として起こる場合があり、危険な病気を手遅れになる前に適切に診断する必要があります。 当クリニックではめまい・ふらつきにたいし、頭部MRIのほか、重心動揺計・3CCDフレンツェル眼振鏡による診断を行います。また治療としましては、内服薬(漢方薬による治療も行います)、めまい体操の指導などを行います。
手足のしびれ・脱力
しびれや脱力を来す病気は、脳由来、脊髄・末梢神経由来、内科的疾患由来など原因は様々あります。
ただし一時的に、しびれや脱力が出現し、短時間(1時間以内)で症状がなくなっても安心はできません。一過性脳虚血発作という今後脳梗塞になりますよという警告症状の可能性があります。
当院では、脳梗塞の警告症状を見逃さないように、MRIにより脳の血管を含め精密検査を受けることができます。
さらにはMRIにより脊髄によるしびれ・脱力の診断も可能です。
物忘れ・認知症
当院では以下の検査により認知症診断を行っております。
① MRI(VSRAD)による認知症画像診断
② 認知機能テスト(MMSE)
③ 軽度認知障害スクリーニング血液検査
① ② :保険診療
③:保険外診療 21,600円(税込)
☆認知症が御心配な方、是非ご相談ください
まぶた・顔のぴくつき/脳卒中後の手足のつっぱり:ボトックス治療
ボトックスとは、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌストキシンという天然のタンパク質を有効成分とする薬です。
ボツリヌス菌を注射するわけではありませんので、ボツリヌス菌に感染するといった危険性はありません。
このタンパク質のごく少量を緊張している筋肉に直接注射することにより、その筋肉が緩み、緊張や痙攣を治め、眼瞼痙攣、顔面痙攣、手足の痙縮の治療を行います。
顔面の麻痺(顔が曲がる)・顔の痛み
顔面の痛み、ゆがみなどを感じた場合は脳神経や脳の障害による可能性があります。専門医でもある当クリニックへご相談ください。
顔面神経麻痺(顔面の麻痺/顔が曲がる)
表情をつくる顔面の筋肉を顔面表情筋といいます。
それらの筋肉を支配する神経が脳神経の一つである顔面神経です。 何らかの原因でこの神経に異常が生じ、顔の動きが普段通りできなくなる症状を顔面神経麻痺とよんでいます。
また脳卒中の症状として顔面神経麻痺が起こることもあります。
症状
年齢問わず子供から老人まで幅広い年齢層で起こります。
顔の半分が動かない・飲んだ水がこぼれる・まぶたが閉じない・笑うと顔がゆがむなど顔面の表情運動の障害
舌の半分の味覚がなくなる・涙の出が悪いなど顔面神経麻痺の程度は様々で、軽い症状の方から顔を完全に動かせない重度の方など多岐にわたります。
原因
主な原因としては顔面神経のウイルス感染が考えられます(ベル麻痺、ハント症候群)
そのほか外科手術やケガなどの原因で麻痺が生じる場合、神経や血管の疾患により顔面の麻痺が出現する場合もあります。
脳卒中等の頭蓋内疾患の可能性もありますので、早急に脳神経の専門医を受診することをお勧めいたします。
三叉神経痛(顔の痛み)
顔面、口の中や鼻の中の感覚などを感ずる神経を三叉神経といいます。
その三叉神経が何らかの原因で圧迫される、または炎症を起こすと痛みが生じます。 顔面にもかなり強い痛みが生じます。
症状
話す、食べる、鼻をかむ、歯を磨くなど日常生活で行う動作によって誘発されたりします。
また様々な神経が通る顔面の障害により、症状の麻痺ばかりではなく、味覚異常、涙、唾液の分泌異常、聴覚の障害などがあらわれるもの特徴です。
多くが顔の片側のみに発生し、痛み以外の症状はみられません。
原因
多くは脳血管の三叉神経への圧迫が原因です。神経に強い刺激は加わることで痛みを引き起こします。
原因で最も多いのが脳動脈による圧迫です。その他脳静脈、脳腫瘍、などが原因となることもあります。
三叉神経痛及び顔面神経麻痺の検査
まず、患者さんの症状の経過・状況などを確認したのち、神経学的診察を行います。
麻痺の原因やウィルス感染の有無の確認のため、血液検査を行います。
また頭部MRI検査を実施して、脳動脈の神経への圧迫の有無、脳卒中・脳腫瘍の有無をチェックします。
治療
これらの疾患で重要なことは原因を調べることです。原因を詳しい検査で発見し、顔面の痛み、麻痺に対する治療を早期に開始することが必要になります。
特に顔面の麻痺の場合は、いずれの原因であってもできるだけ後遺症を残さないようにするため早期診断、早期治療が大切です。
頭部外傷(頭のケガ)
当院では、頭部や顔面のケガの処置や治療、検査などを迅速に行っています。傷の縫合処置なども行っていますが、傷の深さや範囲などによって、当クリニックで処置ができない場合には、連携している高度医療機関をご紹介してスムーズな治療を受けられるようにしています。
但し、意識がはっきりしない場合、傷が大きな場合には、病院受診されることをおすすめします。
また、頭部の場合、小さな傷や打撲であっても、頭蓋内出血や脳挫傷といった深刻なダメージを受けている可能性がありますので、そうしたご心配がある場合も、すぐにいらしてください。特に、受傷時に意識を失ってしまった場合や、その後に頭痛や吐き気が続く場合には、できるだけ早く受診してください。頭部MRI検査を当院で受けられます。
但し小児(特に8歳以下)の場合には、恐怖心や安静にできない場合にはMRI検査が受けられない場合がありますのでご了承ください。
ご高齢の方の場合には、軽い頭部の外傷を受けて静脈に小さな傷ができて、その後数週間から数ヶ月程度かけて頭蓋内に血腫がたまることがあります。これは慢性硬膜下血腫という疾患で、進行するとたまった血腫が脳を圧迫して歩行障害やけいれん、手足の動きの悪さ、頭痛、吐き気、失語症などの症状を起こすことがあります。こうした症状がある場合には、ケガの記憶があいまいでもご相談ください。
慢性硬膜下血腫
主に頭部の外傷が原因で発症します。徐々に出血を起こし時間をかけて大きな血腫となった場合、脳を圧迫して症状を起こします。転倒などで起こる場合もありますが、頭を軽くぶつけた程度で生じることもあります。
高齢者以外では、大量の飲酒習慣がある場合や、抗凝固剤を服用している、透析治療を受けている、水頭症の手術を受けたなどの方は慢性硬膜下血腫を発症するリスクが高くなります。